
撮影が終わって、さあ帰ろうってタイミングで言われるんですよ。
あの、RAWデータも全部いただけますか?
この瞬間の「うわぁ...撮影前に聞きたかった」って気持ち、カメラマンなら誰でも経験ありますよね。断ったら角が立つし、かといって無料で渡したら次もタダの無限ループ。
✓ この記事を書いた人: つるたま(プロカメラマン歴20年+元量販店販売員)
不動産撮影で月200件の現場経験あり。RAWデータ問題を99%解決する方法を実践中。
でも、ある日気づいたんです。
これって「断る/渡す」の二択じゃなくて、最初からRAWを渡す前提で、追加料金をもらえるよう設計すればいいんだって。
で、試行錯誤した結果、たどり着いたのが「SDカード同時記録→現場渡し」という方法。
これやってから、RAWデータ問題で揉めたこと一度もないです。
【結論】99%のケースは「SDカード同時記録」で解決する
RAWデータ問題の最適解は「撮影時にクライアントのSDカードに同時記録して、その場で渡す」です。
なぜなら:
- 工数ゼロ — アップロード作業3〜5時間が消える
- 即納品 — その場で渡せるから満足度が高い
- 追加料金なし — クライアントの負担も増えない
- トラブルなし — 事前に合意してるから揉めない
編集済みJPEGは後日納品、RAWはその場で渡す。これで全員ハッピー。
もちろん、「撮影後に言われた」「SDカード用意してもらえなかった」みたいなイレギュラーもある。そういう時の対処法も後で書きますが、まずはこの方法を標準フローに組み込んでください。
これマジで楽。オンラインアップロードの地獄から解放されるよ
SDカード同時記録のやり方【具体的な手順】
ステップ1: 見積もり・打ち合わせ段階で提案
撮影の打ち合わせ時に、確認
ちなみに、RAWデータも必要ですか? 必要でしたら、撮影時にSDカードお借りして同時記録できますよ
え、そんなことできるんですか!
できますよ。64GB以上のSDカード1枚ご用意いただければ、撮影中に自動で記録して、撮影後にその場でお渡しします。編集済みのJPEGは後日オンラインで納品する形です
これだけ。事前に確認取れてるので安心!
ステップ2: 見積書・契約書に明記
【撮影料金明細】 ・撮影料金(3時間): ¥50,000 ・編集済みJPEGデータ納品(50枚): 上記に含む ・RAWデータ納品(SDカード現場渡し): 無料 ※64GB以上のSDカード(V30以上推奨)をご用意ください 【納品スケジュール】 ・RAWデータ: 撮影当日、現場にてSDカードでお渡し ・編集済みJPEG: 撮影後5営業日以内にオンラインストレージで納品
こう書いとけば、当日「SDカード忘れました」ってなっても「じゃあ後日オンライン納品で、追加料金○○円になります」って言えます。
ステップ3: カメラの設定
デュアルスロット対応のカメラ(NikonのZ6/Z7、Sonyのα7シリーズ、CanonのR5/R6等)で:
【俺の設定例(Nikon Z6)】
- スロット1(自分用): RAW + JPEG Fine
- スロット2(クライアント用): RAWのみ
※メニュー → 静止画撮影メニュー → 記録フォルダー設定 → 「順次」に設定
※スロット2の役割を「RAW(バックアップ記録)」に設定
設定さえしとけば、あとはいつも通り撮るだけ。意識する必要なし
ステップ4: 撮影当日の受け渡し
撮影が終わったら、カメラからSDカードを抜いて:
はい、本日撮影したRAWデータ、全部このSDカードに入ってます。約300枚、23GBくらいですね。編集済みのJPEGは5日後にオンラインでお送りします
ありがとうございます! 助かります!
以上。シンプルでしょ?
【超重要】SDカードのスペック指定を忘れるな
ここ、マジで大事です。
クライアントさんが持参するSDカード、8割は書き込み速度が遅いClass 10以下なんです....。
これだとバッファ詰まって連写が止まる。最悪の場合、シャッターチャンス逃します。
必ず指定するスペック:
- 容量: 64GB以上(128GBあれば安心)
- 規格: UHS-I 以上
- スピードクラス: V30(Video Speed Class 30)以上
「安いSDだとSanDiskのExtreme ProかPROGRADEを買ってください」っとお伝えするようにします。
これ、Amazonで4000-5000円で買えるんで、クライアントの負担も大したことないです。
万が一の保険: 予備SDカードを持参
で、クライアントが「SDカード忘れました...」ってなった時のために、予備のSDカードを自分で3枚くらいカバンに入れておく。
で、その場で貸し出して:
じゃあこちらのSDカード使いますね。後日返却でも、買い取り(実費5,000円)でもどちらでも大丈夫ですよ
【イレギュラー対応】撮影後に「RAWください」と言われたら
ここからは、SDカード同時記録ができなかった時の対処法です。
撮影が終わってから「やっぱりRAWも欲しい」って言われた場合、主に3パターンの対応があります。
パターン1: 「社内で編集したい」と言われた場合
これ、実は一番多いパターン。クライアントに編集チームがいて、ブランドトーンを統一したいケース。
【対応例文】
承知しました。御社にデザイナーがいらっしゃるんですね。それでしたら、RAWデータでお渡しするより、御社のブランドガイドラインに沿って最初から編集したほうが効率的だと思うんですが、いかがですか?
あ、それいいですね。でもRAWも念のため欲しいです
わかりました。RAWデータの納品ですと、(撮影量にもよりますが)オンライン転送に約3〜5時間かかりますので、追加料金として撮影料金の20%(¥10,000)をいただく形になります。または、次回撮影時にUSBメモリやSSDでお渡しすることも可能です
次回撮影時にSSDで受け取ります
かしこまりました。次回、 SSDをご用意いただければその場でコピーしますね。今後も継続してご依頼いただける場合、次からは撮影時にSDカード同時記録にすれば、その場でお渡しできて便利ですよ
ポイント:
- まず代替案(ブランドに合わせた編集)を提案
- それでもRAW欲しいなら、工数に見合った料金を提示
- 次回からSDカード現場渡しを提案して、継続案件につなげる
パターン2: 「もっとたくさん写真が欲しい」と言われた場合
これ、クライアントがRAWとJPEGの違いを理解してないパターンですね。本当は「枚数を増やしてほしい」今後何かあるかわからないから同じ料金なら高画質で念の為ほしいパターンで、「RAW全部ください」ってケースがあります。
【対応例文】
RAWデータご希望とのことですが、どういう用途で使われる予定ですか?
いや、50枚だと少ないかなと思って...
なるほど、もっと枚数が欲しいってことですね。それでしたら、RAW全部渡すより、追加で30枚編集して納品するほうが使いやすいと思いますよ
どういうことですか?
RAWデータって、専用ソフトがないと開けないんですよ。しかもファイルサイズが1枚50MBとかあって、PCのストレージも圧迫します。それに、RAWから自分で編集するのって、かなり時間かかるんですよね
そうなんですか...
なので、追加で30枚、こちらで編集してJPEGで納品したほうが、すぐに使えて便利だと思います。料金は+¥15,000でどうでしょう?
それでお願いします!
ポイント:
- まず「なぜRAWが欲しいのか」を聞く
- 本当のニーズは「枚数増加」だと分かったら、追加編集カットを提案
- RAWのデメリット(専用ソフト必要、ファイルサイズ大、編集に時間)を説明
パターン3: 「とにかく全データが欲しい」と言われた場合
ウェディングとか家族写真でよくあるパターン。「選ばれなかった写真の中に良いものがあるかも」っていうFOMO(取りこぼしの恐怖)ですね。
【対応例文】
お気持ちはよく分かります。大切な思い出だから、全部手元にあると安心ですもんね
そうなんです。選ばれなかった中にも良い写真があるんじゃないかって...
実は、除外した写真って、ピントが甘かったり、目をつぶってる瞬間だったり、同じ構図の重複カットなんですよ。プロとして、品質に自信が持てないものは入れてないんです
でも念のため見てみたいです
わかりました。それでしたら、こういうプランはいかがですか?『セレクト外ギャラリー』を期間限定(1週間)で公開します。未編集・低解像度ですが、全部見られます。その中から追加で欲しい写真があれば、1枚¥500で編集・高解像度納品します。ギャラリー公開は無料です
それいいですね! お願いします!
ポイント:
- まず共感する(否定しない)
- 除外した写真の理由を説明
- セレクト外ギャラリー(低解像度)を無料公開
- 追加で欲しい写真は1枚単位で有料販売
「いくら請求すればいい?」問題
正直、これ悩みますよね。
海外だと撮影料の30%が相場、とか言われても、日本の撮影で30%上乗せしたら仕事なくなる気がする
ので!
| クライアントタイプ | 料金設定 | 理由 |
|---|---|---|
| 事前 | 無料 | SDカード現場渡しなら工数ゼロ。関係性のほうが大事 |
| 単発 | 撮影料の20% | オンライン転送の工数が発生するため |
| 確認 | 1枚 +500円 | RAWデータを開けるアプリや作業が難しいため |
| バックアップ用途 | 無料 | 次回撮影時にSSDかSDを借りて転送で次の撮影案件に |
要は、「工数がかかるかどうか」と「関係性」
判断基準:
- SDカード現場渡しで工数ゼロ → 無料でもOK
- オンライン転送3時間+ → 工数はアップするので20%交渉
- 初回取引 → 必ず料金設定(あれもこれもにならないように)
- 継続クライアント → 関係性重視でバックアップ用と
でも無料で渡しちゃうと、次も無料で要求されない?
だから「今回は工数ゼロだから無料。次回も必要なら、最初からSDカード同時記録で」って先に言っとく
料金提示の例文(メール)
件名: RAWデータ納品に関するご案内 ○○様 お世話になっております。つるたまです。 RAWデータの納品についてご相談いただきありがとうございます。 【RAWデータ納品料金】 ・セレクト済みRAWファイル(納品50枚分): ¥10,000 ・全撮影RAWファイル(約300枚): ¥15,000 【納品方法】 ・オンラインストレージ(ギガファイル便): 上記料金に含む ・次回撮影時にUSB/HDDでお渡し: 無料 ご検討いただき、ご希望がございましたらお知らせください。 なお、今後も継続してご依頼いただける場合、 次回から撮影時にSDカード同時記録(追加料金なし)も可能です。 よろしくお願いいたします。 つるたま
【予防が最善】契約書に入れるべき条項
ここまで「撮影後の対処法」を書いてきましたが、正直これって対症療法なんですよ。
根本的な解決策は、最初から伝えたり可能であれば契約書・見積書に明記しておくことです。
コピペOK: 契約書テンプレート
【納品物に関する条項】 第○条(納品物) 1. 本撮影の納品物は、編集済みJPEG形式の画像データ○○枚とする 2. 納品画像の解像度は長辺3000px、72dpi以上とする 3. 納品方法はオンラインギャラリー形式とし、 ダウンロード期限は納品日より30日間とする 第○条(RAWデータの取り扱い) 1. RAWデータは原則として納品対象外とする 2. RAWデータの納品を希望する場合は、以下いずれかの方法を選択できる a) 撮影時のSDカード同時記録(お客様がSDカードをご用意): 追加料金なし b) 撮影後のオンライン納品: 別途追加料金(撮影料金の20%)を申し受ける c) USB/HDDでの郵送納品: 実費+手数料¥3,000 3. RAWデータ納品時も著作権は撮影者に帰属し、 クライアントは使用許諾のみを受けるものとする 第○条(著作権) 撮影された全ての画像の著作権は撮影者に帰属する。 クライアントは契約で定められた範囲内での使用権を有する。
これ入れとけば、「RAWください」って言われても「契約書の第○条をご確認ください。追加料金が発生します」って堂々と言えます。
契約書って「防御」じゃなくて「共通認識」だから。お互い気持ちよく仕事するための道具
なぜカメラマンは本当はRAWを渡したくないのか?
念のため、カメラマン側の気持ちも書いておきます。
クライアントに説明する時の参考にしてください。
理由1: 編集も含めて「作品」だから
RAWファイルって、レストランで言えば「調理前の生肉」なんですよ。
シェフが味付けして焼いて盛り付けて、初めて「料理」になる。生肉の状態で渡されても、お客さんは困りますよね。
写真も同じ。撮影+編集+色調整まで含めて「作品」なんです。
撮影3割、編集7割くらいの感覚。編集で変わります。
理由2: RAW現像前提で撮影しており品質管理できなくなる
例:RAWデータをそのまま渡した場合
【ケース】過度な編集で炎上
- RAWを過度に加工
- 彩度を極端に上げ、不自然な色味に
- カメラマンのクレジット付きでSNS投稿
- 「この写真家はセンスがない」と批判殺到
- 実際には撮影者の編集ではないのに、評判が傷ついた
こういうケースがあるので、カメラマンは慎重になります。
シャッターを押しただけでは自分のテイストではないので、趣味の撮影の場合はトラブルになりやすい傾向に。
理由3: 工数がバカにならない
RAW全納品って、実は追加で4時間くらいかかるんですよ。
【RAW全納品の実際の作業時間】 1. RAWファイル整理・リネーム: 5分以内 2. メタデータ確認・埋め込み: 1時間 3. アップロード準備(圧縮等): 30分 4. オンラインアップロード: 3〜5時間(待機含む) 5. ダウンロード確認連絡: 30分 ━━━━━━━━━━━━━━━ 合計: 4時間〜
時給¥5,000のカメラマンなら、追加コスト¥20,000〜です。これを無料で提供するのは、経営的に厳しい。
だからSDカード現場渡し。この工数が丸ごと消える
まとめ: RAWデータ問題は「事前設計」で99%防げる
結局、この問題って「撮影後に言われるから困る」んですよね。
だから、最初から:
- 見積書に「RAW納品オプション」の項目を入れる
- 打ち合わせで「RAW必要ですか?」と自分から聞く
- 必要ならSDカード同時記録を提案
これだけで、撮影後に揉めることはなくなります。
今日から使える、たった1つのアクション:
カバンに予備のSDカード(64GB)を3枚入れておく。以上。
これやるだけで、「RAWデータください」のストレスからちょっと解放されます!
まとめ
✓ 事前対策準備:
- 予備SDカード1,2枚準備
- 見積書テンプレートに「RAW納品オプション」の項目追加
- 自分のカメラのデュアルスロット設定を確認
✓ 撮影前のMTGや会話で:
- 打ち合わせ時に「RAW必要ですか?」と聞く
- SDカード同時記録を提案
- 実際にやってみて、クライアントの反応を確認
これだけで変わります!
📌 この記事をブックマークして、RAW要求された時にすぐ見返せるようにしていただければ幸いです
