写真の上手い下手はさほど重要ではない。好きな被写体にとことん向き合うことの重要性
京都や鎌倉などの寺社巡りが好きなつるたまです。
ゴールデンウィークは寺社フェス向源で写真教室6本を行わせていただきました。
写真を上手くなるためにテクニカルな内容を多く書いた記事はよくみかけるけども
写真のアイディアを書いている記事に出会ったことが記憶にあまりない。
そんな気づきから、向源のお寺で写真教室では、
・カメラのモードダイヤルはオートしか使っていない
・なんとなく絞り優先を使っている
上記の方など、独学で写真を撮っていて基本を学びたい方向けに
「どうしたらシンプルにもっと自分が好きな写真が撮れるのか」
カメラを通して自分やだれか、何かと向き合うことで気付くことを
お話しさせていただいたので今回はその一部をご紹介していきたいと思います。
基本を学ぶなら設定は絞り優先 f5.6 まずは撮影に集中できる環境を作る
「カメラの基本を学びたい」
記事を見に来ていただく方や写真教室に来ていただいた方
多くの人が「設定はなににしたらいいですか?」からはじまります。
カメラには、絞り、シャッタースピード、露出補正など
大きく分けて3つの選択があり、この全てを最初から一気に理解しようとすれば
カメラの設定だけに追われてしまい、
写真を撮るコトになった本来の目的やきっかけを忘れがちに。
そうならないためにも
・絞り優先ダイヤル
・f5.6
・ISO AUTO
に設定して、撮るコトに集中できる環境作りから始めましょう。
なんで絞り優先 f5.6なの?
オートやプログラムを抜け出したいときにおすすめなのが絞り優先ダイヤルで
購入時のキットレンズや標準的なレンズの明るさはf5.6です。
同じf5.6でも広角や望遠にすることでボケ感の違いや背景の写り方が変わってきます。
継続的にf5.6で撮影していると「この焦点距離のf5.6ならこの写真が撮れる」と
写真を撮る前にイメージできる感覚を身につけるためにf5.6に固定しております。
この感覚が身につくと、いつ絞ればいいのかが判断できるようになり
よりぼかしたいときは目的に合わせた
明るいレンズを選択(持ってなければ購入)することができるようになります。
なんとなく解放でぼかしまくって撮影している状況から抜け出すときにも
この方法、どのくらいのボケ感になるのかレンズによって
データが撮れるのでオススメです。
シャッタースピード優先は時間を表現するときに使う
最初に絞り優先のお話をしましたが、
明確な使い分けをすることで撮影時の設定に戸惑うリスクを減らしております。
シャッタースピード優先をどんなときに使うかというと
・動いている被写体を止めたいとき(1/500以上)
・意図的にぶらしたいとき(1/30など手ブレしないギリギリのシャッタースピード)
・はたまた手ブレのリスクを手っ取り早く抑えたいとき(1/125前後)
上記いずれかの条件にあてはまるときにのみに割り切ると
悩まずに絞り優先ダイヤルと、シャッタースピードを使い分けることができ
設定で悩むことが減ります!
ここまでで、カメラの設定のお話は終わりです。
撮る環境に集中できる準備ができたらあとは
気になって撮影している被写体をもっと深く撮影する方法へと移ります。
なにがきっかけでカメラを買ったかに原点回帰すると気付くこと
「旅行がきっかけでカメラを購入した」など、
カメラを購入する動機は多くの人にあると思います。
そのきっかけが重要で、旅行であれば「どこのどんなところが撮りたくて買ったのか」
寺社巡りが好きなつるたまは
お寺の門構えや、瓦、畳や障子から見える庭園が好きで写真を撮影しております。
自分が気持ちが入ったものが具体的に何か
最初のうちは明確化するのは難しいのですが、繰り返し意識していくことで
自分がいま何がいいと思って写真を撮ったのかが写真に現れてきます。
そのいいと思ったものをとことん深堀して
自分の感情や熱量を写真に記録していく表現方法をご紹介します。
まずは自分が撮りたかったものをシンプルに撮る
シンプルに撮影することで、「何が撮りたかったのか」わかりやすい撮り方のひとつが
レンズの望遠側でアップで撮影すること。
カメラを購入したばかりの初心者のときは、できるだけこの方法で撮影していきます。
広角と望遠の使い分け方
上記は標準レンズの望遠側で下記は広角側
被写体のカンガルーの大きさはほぼ同じでも
背景に入り込む木の本数が違ってきます。
望遠は背景の色をまとめてぼかしやすく
広角は幅広く写るため、背景に何が入っているのか注意が必要なため、
より広大に空間を見せたい風景や建築のときや
絞って撮影したいときにのみ使用して使い分けましょう。
被写体が一番引き立つ背景を探そう
シンプルに撮影できるようになったら、
撮りたい被写体が引き立つ背景色を探してみましょう。
例えば背景が白であれば、きれいや洗練された明るいイメージ
背景が黒であればコントラストが締まり、
高級感や作品性のある写真を撮影することができます。
この二つの使い分け方は、
きれいやかわいい、
洗練されたイメージで撮影したいときは明る目や白に近い背景を選択
高級感やかっこいい、静寂を表したいときは
黒や影などの面積を大く写真に設けると写真の印象をコントロールできます。
撮影前にどちらのイメージで撮影したいのか。
撮影しながら考えるのではなく、
撮影する前にどんな印象の写真を撮りたいか考えると
太陽の向きや光と影、撮影場所の選択もしやすくなります。
洗練された明るいイメージであれば
順光で色を濃く出したり、逆光でハイキーに柔らかく
かっこいいイメージであれば、斜光で陰影をつけるようにすると
より印象を調整することができます。
主題と副題、被写体を重ね合わせる
先ほど撮影した狐が主題に副題を重ねた写真です。
シンプルに捉えた被写体の背景に慣れてきたら次は
第一の被写体(主題)と第二の被写体(副題)を重ねて撮影してみましょう。
上記の写真では副題に神社を重ね、風景として情景を写し込んでおります。
狐がいなくても、一枚の写真として成り立つ副題を入れると
どんな場所にいるのか、わかりやすくなりますよね。
実はこれ記念写真の撮り方でもあり、
人物が主題+富士山などの背景が副題になるので
知らぬ間に撮影している方も多いはず。
このときにはじめて、レンズの望遠側だとボケすぎててわかりづらくなるので、
f8に絞ったり、レンズの焦点距離を少し広角側に調整する必要がでてきます。
主題と副題がボケすぎずに見えそうで見えないくらいのボケ感がポイントです。
できれば3つのキーワードや三層構図がいい
撮影する構図を決めたら三つ目の被写体が入ってくるまでじっと待ち続けてみると
そこに誰かが通ったり何かが起こるコトがあります。
例えば上記の写真では拝観する人物が訪れて
シャッターチャンスになることもあります。
事前に撮影する構図を決めて、何かが起こるのを待つコトで
シャッターチャンスに慌ててカメラを構えるコトなく、しっかりと撮影できます。
こちらの写真では近景・中景・背景に手・女の子・背景と3つの層に分けて考えられる
3層構図にすると、奥行きやその場所にいて見ているような
臨場感を撮影することができます。
伝えたい被写体、3つを全てを入れ込むだけでなく、
見切れたりぼかしたりして意図的に分かりづらくする手法も
伝える方法として有効なので、
慣れてきたら意図的になにを入れると、より主題が引き立つのかやってみましょう。
撮影した後で気づきを得て学ぶ
撮影後、写真をセレクトするのに時間がかかる。
どの写真も個人の思い入れがあると思うので、それはみなあることです。
が!セレクトのポイントや写真がより上手くなる方法は、
個人の感情を捨てて、第3者の視点でその写真を見た時に
どう感じるかを考えることです。
まずは、いいと思った写真をまとめて言葉に置き換える
例えば上記の写真がいいなと思ったら、
第3者の視点でこの写真を見た時感じそうな言葉を具体化していきます。
静寂・祈り・明暗・光・黒・数珠など、
なぜそう感じたのか、光の向きなど言葉にして考えていくと
その写真がなぜそう伝わるのか、写真のキーワードを洗い出せます。
写真を言葉で表すことができるようになるとその写真のメッセージ性や
その時の感情をより強く出せるようになるので、
この写真の言語化はかなりオススメです。
また、なんとなく撮影したけど
自分が本当に撮りたかったものが何だったのか
自分が何に魅力を感じていたのか気付くことが多いです。
ダメだった写真こそが反省点を深堀して上手くなるきっかけになる
気に入らなかった写真や失敗した写真ってあると思います。
その写真、そっと削除するだけでなく、どんなところに失敗したのか
次どうすれば失敗しないのかなど失敗した写真こそ、
しっかり反省して撮影していくと、
次回覚えているので同じ失敗を繰り返さず、徐々にステップアップできます。
本当に好きだったものを深堀していけば上手い下手ではなく伝わる写真になる
今回テキストベースで写真教室でお話しした一部、内容を書き起こしてみました。
・カメラの設定は最低限の絞り優先 f5.6
・撮るコトに集中する環境をつくること
・自分の撮りたかったものをどうしたらもっとよく見えるのか
・写真を言語化して自分の撮りたかったものを改めて深堀する
上記の4点を意識すると、カメラに撮らされることなく
自分自身が本当に撮りたかったものをその時の感情や熱量を写し込み、
より本質的に写真を楽しむことができるようになります。
熱量や伝えたいことが明確に写っている写真は上手い下手関係なく
自分の記録にも誰かに伝えることもできる写真になるので
写真を撮るきっかけに戻ってお試しいただければ幸いです。
記事だと分かりにくい部分や文字数が多くなりすぎるので
省いている箇所もありますが、今後も写真教室いろいろやっていきますので
Twitterなどでチェックしていただければ幸いです。
それでは、また!